眩しい太陽の光の中を、銀色の車が悠々と走り抜ける。
二人の各々の想いを乗せて、突き進む。
頬を紅く染めた紗季は、顔を隣に向けて
ハンドルを握る一博の腕に見とれていた・・・。
そんなに筋肉質ではないが、ハンドルを切る時に
腕に浮き上がる筋肉が、とってもたくましく力強く魅力的に見えた・・・。
車窓から見える、たくさんの良い景色には目もくれず
彼の腕だけを集中して見ていた・・・。
さっきの抱擁とキスで二人の間は確実に近づいた・・・。
だが、まだ、幾つもの壁がある様に思えていた・・・。
けれども、そんな事は気にせずに
紗季は一博を見つめ続ける
と言うよりも、自然に目が彼に向いてしまうのだった・・・。
「なぜ・・・この人は・・・さっき・・・キス以上を・・・
してこなかったの・・・だろうか・・・」
今迄の援交や彼女の人生経験上の男とは
明らかに、違った行動を一博はとっていた・・・。
それが、どうしても気になって仕方がなかった・・・。
「私の事を・・・どう・・・思って・・・いるんだろう?・・・」
紗季の乙女の心が、様々な憶測をめぐらせて
心配で苦しくなっていた・・・。