紗季は、一博の大きな胸に抱きかかえられ
大きな物に包まれて、自然に心が開放されて
自分の意思とは関係なく
とめどなく、涙が次から次に流れてくる・・・。
昨夜自ら裸で一博の胸に飛び込んだ時とは
明らかに心の状態が違っていた・・・。
今迄の紗季の価値観で、泊めてもらったお礼に
身体を提供して、食事やお金を得る。
そんな何時もの、自然な振る舞いの中の行動だった・・・。
でも・・・今は・・・全く違っていた・・・。
全身に感じる一博の宇宙の様なとっても広い大きさ
太陽の様な心地よい温かさ、月の様な優しい癒し
紗季にとっては、どれもが始めての感触だった・・・。
心の奥が初めてキュンと締め付けられるのを感じた・・・。
どう対応して良いのか分からない、感情だった・・・。
一博は、紗季の事が愛しくて堪らなくなって
可愛くて、折れそうな紗季の身体を抱きしめていた。
いやらしい気持ちからではなく、純粋に紗季の涙に
反応して、身体が自然に動いてしまったのだった。
自分の意思を飛び越えて、迷う間もなく身体が動いていた・・・。
ただただ、紗季の涙を受け止めてあげたくて。