「どうしたの?」

「紗季ちゃんこそ、急にどうしたの?」

「え?・・・あ・・・あの・・・一博さんの唇が

一博さんの全てが欲しいって思っちゃって・・・」

「私の全てを?」

「うん・・・何だか良く分からないんだけど・・・

彼方と一緒にいたら、そんな気持ちになってきて・・・」

「そうだったんだ、ありがとう」

「あ・・・いや・・・」

そう言われると、紗季は顔を真っ赤にして伏せた。


「なんか、嬉しい様な悲しい様な

なんかびっくりしたって感じでさ」

「なんで?・・・」

「紗季ちゃんみたいな女性が

あんなに大胆なことをするんだなって思ってね」

「あ・・・なんか・・・私も気が付いたらって感じで・・・」

「そっか、まだ、私の事をそんなに知らないのに

良いのかな?って思ったりなんかしてさ」

「私は、一博さんの事が・・・あの・・・その・・・」

「何?」

「だから・・・ね・・・ほら・・・」

「ほらって言われてもね、キスは好きな人とした方が良いよ」

「もう!・・・だから・・・あなたが・・・好き・・・」

「え?今なんて?」

「いや・・・もう言えない・・・」

紗季は更に顔を紅くして、首を振る。