一博は、本当に嫌だった。波をかけられるのが。

必死になってタオルで波を落としていた。


「つまんなーい・・・こう言うの憧れてたのに・・・」

紗季が本音をもらす・・・。

「だってさー、今の時期シャワーとか無いから、海臭くなるじゃん」

一博がまじめな顔をして言う。

「えー・・・じゃあ・・・私はどうなるの?・・・」

「え、あ、紗季ちゃんは別さ」

「えー・・・私は海臭くなっても言いわけ?・・・」

「うん」

「なにそれ!・・・」

「だってさ、紗季ちゃんもともと良い香りがしてるから

少しくらい海の香りがしてもいいかな?ってさ」

「嫌よー・・・私だって・・・海からあがったら・・・ちゃんと洗いたいわ・・・」

「え?でもどこで?」

「その辺に・・・ホテルとか・・・あるじゃない・・・」

「え?、ホテル?」

「うん・・・ホテル・・・」

「へ?」

一博は、思わずホテルと聞いてさまざまな事を想像して固まってしまった。

「だから・・・ね・・・エイ!・・・」

再び紗季の波かけ攻撃がはじまった・・・。

さっきよりも大量に一博に波がかかる

「もう、ちくしょう」

一博も裸足になって海に入り反撃しはじめた。

「いや・・・つめたーい・・・」

波をかけられながらも、笑顔の紗季


青春の1ページのような光景が行われている。

太陽の光が二人を照らし輝かせている。

子供のような笑顔の二人・・・

逃げては追われ、追われては逃げ

いつまでも、いつまでも、続いていた。