「うわー・・・きもちいいー!・・・」

海について車のドアを開けた紗季は、海風に心を躍らされていた。

「ほんとに・・・ひろいんだねー・・・」

紗季は、少女のような満面の笑みで砂浜へと向かって行く・・・。


そんな紗季を父親か兄貴のような気持ちで見つめながら、後を追う。

元気な太陽の光に照らされて光り輝く紗季が天使のように見える。


今日の波は、穏やかに寄せては返していた。


雲一つない真っ青で広い空・・・

静かで広い青い海・・・

心の中も綺麗に洗われそうな自然の究極美・・・


紗季は靴にソックスを入れて裸足になって波間に向かって行く・・・

なぜだか海は、人の心を解放させてくれる・・・

童心を呼び覚まさせて、思いっきり楽しまさせてくれる・・・


「うわー・・・良いきもちー・・・」

波に足を浸しながら、紗季の笑顔は更に満面の笑みに変わって行く・・・

「あは・・・良いきもちー・・・」

「きて良かった?」

「うん・・・ありがと・・・もう最高!・・・」

「なら良かった」

「あれ?」

「何?」

「一博さんは、入らないの?」

「ああ、私は良いよ」

「えー・・・なんでー?・・・」

紗季が子供のように体をくねらせダダをこねる・・・

この姿がまた可愛くてたまらない・・・


一博はその姿に魅了されながらも

「いや、ちょっとね」

「ちょっと・・・なに?・・・」

「紗季ちゃんを見ていたいから」

「えー・・・もう・・・そんなこと・・・いちゃって・・・」

「これで・・・どうだ!・・・」

紗季は一博に向けて、手で波をかけはじめた・・・

「あ!冷たい、コラ、やめろ!」

「へへーん・・・どうだ・・・変なこと言ってごまかすからよ・・・」

「うわ、いいから、やめてよ」

一博は、どんどん紗季のそばから離れて行く

「もう・・・わかったわよ・・・」

「あ、ありがと」

「あー・・・つまんない・・・」

ちょっとむくれた顔もまた可愛かった・・・。